風立ちぬの病院では、菜穂子や他の患者さんは、寝袋に入ったまま病院の外で寝ています。
病院にいるのに、風立ちぬでは病院の外で寝る理由はなぜって思いますよね?
病院の外で寝るシーンを見たら、菜穂子が入院したサナトリウムは現存するのかも気になってしまう!
この記事では、風立ちぬの病院では、なぜ寝袋のまま外で寝るのか理由を解説します!
また、風立ちぬで菜穂子が入院したサナトリウムは、現存するのかも解説しているので、ぜひ、最後までご覧ください!
Contents
風立ちぬの病院では寝袋で外で寝る理由はなぜ?
なぜ風立ちぬの病院では寝袋に入って、菜穂子は外で寝るのか?
理由は、当時の結核の治療法だからです。
どんな治療法かというと、
- 清浄な空気を吸う。
- 安静を保ちつ。
- 栄養のある食物を摂取する。
という治療法です。
風立ちぬで菜穂子や他の患者さんが病院の外で寝袋のまま寝ているのは、病室内より、外の空気が清浄だからです。
ベッドで寝袋に入って寝ているのも、安静を保つためです。
寝袋に入る理由は、単純に高原で寒いからだと言われてもいます。
菜穂子が受けている結核の治療法の名前は、
- 大気安静療法
- 大気安静栄養療法
とも言われていました。
なぜ風立ちぬの病院では寝袋に入って、菜穂子は外で寝るのかがよりわかるので、大気安静栄養療法の鍵である、清浄な空気、安静、栄養について解説します!
外で寝るのが大気安静栄養療法?
菜穂子が高原病院の外で寝る理由は大気療法にあります。
大気療法では、屋外の空気を吸います。
なぜ、病院内の空気ではだめなのでしょうか?
病室内だと結核菌が室内にとどまります。
屋外で日光を浴びると紫外線で結核菌は殺菌されます。
屋外で清浄な空気と吸い、吐く息とともに体外へ出る結核菌は、紫外線で殺菌される。
清浄な空気が大気安静療法で重要だったのは、結核菌を殺菌させる目的もあったのです。
現代では、病室内の空気を循環させる装置が結核病棟には設置されています。
菜穂子が入院した高原病院は、日光で結核菌を殺菌する日光療法が研究されていた病院でもあります。
寝袋で寝るのは安静にするため?
大気安静栄養療法では、どのくらい安静にするのか?
どのくらい安静にするのか参考になるのが「結核の治療方針」です!
風立ちぬで菜穂子が結核を発病しているのは、1930年代です。さらに30年後に厚生省が発表した「結核の治療方針」には安静度の具体的な例があります。
「結核の治療方針」には、1日にどういう生活を送るのか生活基準が決まっています。
具体的に決められている1日の生活基準には次のような項目があります。
- 洗面
- 食事
- 排便
- 面会・談話
- 歩行・散歩
- 清拭と入浴
- 洗髪
- 外来受診
- 身の回りのこと
例えば、1番重症な結核患者なら、1日の生活基準はこうなります。
洗面は寝たままで拭いてもらう。食事は寝たままで食べさせてもらう。面会・談話、歩行・散歩もいけない。入浴はいけない。清拭は医師の指示による。洗髪もいけない。外来受診もいけない、常に医師と連絡を保つ。身の回りのことは人手を借りる。
自分で動くことができても、してはいけない。めちゃくちゃ、安静にしなさいということです。
風立ちぬの菜穂子の生活基準を映画から考えると、高原病院では菜穂子は人と話していないし、二郎からの手紙も看護師から手渡されますが、看護師とは話していない。歩行・散歩もしていない。
とすると、高原病院での菜穂子の生活基準は次の2つのケースが考えられます。
- 面会・談話もしてはいけない。歩行・散歩もしてはいけない。入浴、洗髪もしてはいけない。
- 面会・談話は安静時間外に連続して1時間以内なら良い。歩行。散歩は室内のみか、屋外は1時間以内なら良い。入浴は1週間に2回までか、人に体を拭いてもらうだけ。洗髪は洗うことさえ禁止されていたかもしれない。
がんじがらめの生活ですね。菜穂子は自由に動ける若い女性です。動きたいのに動けない。結核を発病すると、気鬱にならないようにもしないといけないでしょう。
「好きな人に一番綺麗なとこだけ見てもらったのね」という風立ちぬのセリフが、禁止の多い菜穂子の生活基準、気鬱さを考えると胸に刺さります。
この記事には、9個の具体例を挙げています。他にも「結核の治療方針」には仕事についても良い患者向けの基準があります。菜穂子は仕事についていないので割愛しました。
文字や表アレルギーのある方は次の写真(「結核の治療方針」の安静度表)は飛ばしてください。もっと詳しく菜穂子の生活基準を想像できます。仕事につける患者の生活基準もわかります。

現在でも、「結核患者の安静度表」が目安にされ、厚生労働省が障害を認定する基準に使っています(特別障害者手当という制度の中で使用されています)。
外で寝袋で寝る以外にもしていたこと
外で寝袋で寝る以外にもしていたことには「栄養療法」があります。
厚生省の「結核の治療方針」には安静の項目の次に、栄養の項目があります!
「結核の治療方針」の栄養の項目は、大気安静栄養療法での栄養の参考になるのでご紹介します。
- 体重50-55kg
- 病床安静している男子 1,900-2,100kcal
- 室内で多少運動する男子 2,100-2,300kcal
- (睡眠9時間、病床安静4時間、身の回りのことをする10時間)
- タンパク質 80g /1日
- 脂肪 肝障害がある場合は、多量摂取は控える
- ビタミン、鉱物の顔料に注意して食欲を損じないようにする
- 女性は男性の例よりやや少なくても良い。
「結核の治療方針」ではこのように例を示しています。
文字や表アレルギーのある方は次の写真(「結核の治療方針」)は飛ばしてください。「結核の治療方針」の栄養をもっと詳しく知れます。

風立ちぬは戦前、「結核の治療方針」は東京オリンピック前と時代が違うのですが、参考になります。
外で寝るのに寒さで風邪引かないの?
菜穂子が高原病院から出た時には雪が降っており、コート、帽子など防寒具を着ています。
登山家には、こんな寝袋がありますよね?
これと同じで防寒具でもあり、寝袋でもある。菜穂子はベッドだけだと寒いから、寝袋に入っています。
寝袋、マフラー、ニット帽を菜穂子が着ているのは、外で寝るのに寒さで風邪をひかないようにしているからです。
結核を発病しているので、免疫が落ちているでしょうから、菜穂子は風邪を引きやすいです。
当時は、結核の治療法は、外で寝続けるしかない(大気安静栄養療法)ので、冬だと風邪を引かないようにする対策も必要になっています。
風立ちぬの病院の寝袋で寝るサナトリウムは現存する?
結核療養所は、1960年代に急速に減っていきます。
BCG接種、集団検診、外科療法、化学療法が発達したことが結核療養所が減っていった理由です。
日本では最大700のサナトリウム(結核療養所)、ベッド数26万台がありました。
最後の結核のサナトリウムは2010年代に役割を終えています。
結核を治す病院は現在もあります。
結核を治す病院として、国立病院機構は結核の治療を、国民のセーフティネット医療として役割を担っています。
しかし、結核のサナトリウムは現存しない。
化学療法が確立するまで結核は治療方法がなかったので、長期的な療養場所としてサナトリウムは役割があった。
結核が治る病気となったので、結核のサナトリウムは役割を終えて現存はしていないのです。
現在は、精神疾患をもつ患者さんの長期療養の場所として、サナトリウムという言葉は使われていますが、結核のサナトリウムではありません。
菜穂子のサトリウム「高原病院」は本当にある?
菜穂子が入院したサナトリウムは現存しません。2012年に取り壊れています。
菜穂子が入院した高原病院は、サナトリウムと呼ばれていました。
菜穂子の時代には、サナトリウムは結核療養所のことです。
菜穂子が入院したサナトリウムは、正式には富士見高原療養所です。
風立ちぬの公開は2013年ですので、風立ちぬの製作中に富士見高原療養所は取り壊されています。
建物としては富士見高原療養所は現存しませんが、資料館が残っています。
旧富士見高原療養所がある場所などの情報です。
名称 | 旧富士見高原療養所資料館 |
住所 | 〒399-0214 諏訪郡富士見町落合11100 富士見高原医療福祉センター内 |
アクセス | JR富士見駅から徒歩14分 |
電話番号 | 0266-62-3030 |
開館時間 | 9:00~12:00・13:00~17:00 (平日、入館は16:30まで) 9:00~12:00(第1・4土曜日) |
休館日 | 第2・3・5土曜日、日曜日、祝日、年末年始 |
入館料 | 無料 |
駐車場 | 10台(無料) |
菜穂子が入院したのは結核でした。
結核ってキスでうつるのか気になって調べてみました!
まとめ
風立ちぬの病院では、菜穂子や他の患者さんは、なぜ寝袋に入ったまま病院の外で寝ているのか不思議でした。
病院にいるのに、風立ちぬでは病院の外で寝る理由はなぜって疑問が頭に浮かんでしまう。
病院の外で寝るシーンを見たら、菜穂子が入院したサナトリウムは現存するのかも気になる。
こういった疑問に対してこの記事では次のように、解説しました。
大気安静栄養療法のために、風立ちぬの病院では、寝袋のまま外で寝ていると理由を解説しました!
風立ちぬで菜穂子が入院したサナトリウムは、現存するのかにも、現存はしないと解説しました!
以上、最後までご覧いただきありがとうございました!