人気バンドMrs.GREEN APPLEの楽曲『コロンブス』は、2024年に公開されたミュージックビデオ(MV)が大きな批判を集めました。この記事では、MVがなぜ炎上したのかという理由を、報道や専門家の指摘をもとに整理します。あわせて、公開停止後の対応やバンドの現在の状況まで、初めて知る人にも分かりやすくまとめました。

Mrs.GREEN APPLE『コロンブス』とはどんな楽曲か

「コロンブス」は、清涼飲料のコカ・コーラが展開した「Coke STUDIO」というキャンペーンのために書き下ろされた楽曲です。

Mrs.GREEN APPLEは、大森元貴さん(ボーカル・ギター)を中心とする3人組のロックバンドで、幅広い世代に親しまれています。楽曲そのものへの評価は高かった一方、MVの映像表現が思わぬ形で問題視されることになりました。

コロンブスMV炎上クイックファクト

楽曲名コロンブス
アーティストMrs.GREEN APPLE
MV公開日2024年6月12日
公開停止日2024年6月13日
タイアップコカ・コーラ「Coke STUDIO」キャンペーンソング
所属レーベルユニバーサルミュージック

MVが公開されてから炎上するまでの経緯

MVは2024年6月12日に公開されました。ところが、内容への批判がSNSを中心に急速に広がり、翌13日には公開が停止される異例の展開となります。

短い時間で社会的な騒動へ発展した点が、今回の特徴といえるでしょう。公開から停止までのおおまかな流れは、次の表のとおりです。

日付主な出来事
2024年6月12日MVが公開される
2024年6月13日公開停止と謝罪の発表
2024年6月27日新CM発表会に出席し炎上後初めて公の場へ

このように、公開からわずか1日ほどで対応が取られた事実に、批判の大きさがうかがえます。

『コロンブス』MVが炎上した理由

炎上の背景には、MVの映像表現と歴史認識という2つの大きな論点があります。ここからは、具体的にどのような点が批判されたのかを順に見ていきましょう。

炎上した主な理由

  • 類人猿に人力車を引かせる描写が奴隷制を連想させた
  • 西洋人が教え類人猿が教わる構図が植民地支配を想起させた
  • 侵略者という側面を持つコロンブスへの歴史認識が不足していた
  • 公開前の社内確認が足りず海外基準とのずれを見落とした

奴隷制や植民地支配を連想させた映像表現

MVでは、メンバー3人がコロンブス、ナポレオン、ベートーヴェンとみられる人物に扮し、類人猿と出会う様子が描かれました。

その中で、類人猿に人力車を引かせたり、乗馬や楽器を教えたりする場面があります。こうした構図が、人間が動物を支配するように見え、奴隷制や植民地支配を想起させるとして、強い批判を集めました。

コロンブスをめぐる歴史認識のギャップ

歴史研究者からも指摘が相次ぎました。一橋大学で米国史を研究する貴堂嘉之教授は、近年のコロンブスが植民地支配の端緒となった人物として語られていると説明しています。

西洋人が教える側、類人猿が教えられる側という描き方は、人種差別的な表現と受け取られかねないと批判されたのです。

海外基準との違いを見落としたという指摘

ジャーナリストの津田大介さんは、海外展開を視野に入れるアーティストでありながら、制作スタッフが世界的な基準を把握していなかったと指摘しました。

コロンブスというテーマは、海外では慎重に扱われることが多い題材です。その感覚とのずれが、今回の炎上につながったとみられています。

制作側の確認不足という問題

所属するレコード会社は、MVを公開する前に社内で確認する機会があったものの、細かなチェックが足りなかったと説明しました。

そのため、批判はアーティスト個人だけでなく、制作や確認の体制にも向けられます。一人の表現者に全責任を負わせるべきではない、という意見も見られました。

炎上を受けた公開停止と謝罪の内容

公開翌日の2024年6月13日、所属するユニバーサルミュージックはMVの公開を停止しました。

公式サイトで示された謝罪では、「歴史や文化的な背景への理解に欠ける表現が含まれていた」という趣旨が述べられています(ユニバーサルミュージックの発表より)。大森元貴さんも、制作の意図を説明したうえで謝罪の意を示したと報じられました。

CMやタイアップへの影響

「コロンブス」はキャンペーンソングだったため、MVの公開停止にともない、関連するCMのオンエアも中止されたと伝えられています。

楽曲が広告と結びついていたことで、影響は音楽の枠を超えて広がりました。企業側のイメージにも配慮した、やむを得ない判断だったとみられます。

炎上は意図的だったのかという議論

一部では、楽曲のテーマや映像の作り込みから、話題を狙った意図的な演出ではないかという見方も出ました。

ただし、その真偽を示す確かな根拠はなく、受け取り方は人によって分かれています。現時点で、意図的だったと断定できる情報は確認されていません。憶測が独り歩きしやすい点には注意が必要でしょう。

炎上に対する世間やメディアの反応

今回の騒動では、楽曲を起用していた民放各局にも、確認が甘かったのではないかという声が向けられたと報じられています。

音楽やエンタメの世界では、炎上が話題になることは珍しくありません。過去にはクリープハイプの解散や炎上をめぐる話題や、サチモスのライブに関する議論なども注目を集めてきました。

Mrs.GREEN APPLEの現在はその後どうなった

炎上後も、バンドは活動を大きく止めることなく歩みを続けています。2024年6月27日には自動車メーカーの新CM発表会に3人が出席し、騒動後初めて公の場に姿を見せました。

その後も音楽活動を継続し、2024年には「ケセラセラ」で日本レコード大賞を受賞したほか、紅白歌合戦にも出場したと報じられています。2025年には全国の5大ドームをまわるツアーの開催も伝えられており、動員や人気の面で勢いは続いているようです。

炎上後に活動へ影響が及ぶ例もありますが、たとえばキンプリ(King & Prince)の音声流出をめぐる騒動のようなケースと比べても、歩みを止めずに続けている点が特徴といえるでしょう。

まとめ

Mrs.GREEN APPLE『コロンブス』のMV炎上は、奴隷制や植民地支配を連想させる映像表現と、歴史認識のギャップが主な理由でした。バンドは公開停止と謝罪で対応し、その後も活動を続けています。表現が社会に与える影響を考えるうえで、多くの示唆を含む出来事だったといえるでしょう。