普段の生活の中で「B型事業所」と耳にすることがありますか?あまり聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれません。
B型事業所とは簡単にいうと障害者福祉サービスの一つです。
今、B型事業所の利用を検討し、情報収集されている方もいらっしゃるかと思います。
その中で「B型事業所パワハラ」「B型事業所行きたくない」「B型事業所おかしい」というワードを目にすることがあるかもしれません。
この記事ではB型事業所で起こっているいじめやパワハラについて、B型事業所とはどのような場所なのか、給料はもらえるのか、雰囲気や人間関係は大丈夫なのかといったことについて紹介していきます。
Contents
B型事業所のいじめとパワハラ!

すべてのB型事業所でいじめやパワハラがあるわけではありませんが、中にはそのような事実から利用の継続が難しいと感じるケースがあるようです。
例えば、職員から無視された、作業内容を教えてもらえない、他の利用者からの暴言など対人場面でのストレスを抱える方もいます。
では、具体的にどのようなことがいじめやパワハラと感じるのでしょうか。
【いじめ①】子供扱い
B型事業所は障がいをお持ちの方を対象としていますので、障がいの種類や障がいの程度は様々です。
そのため、職員は作業内容の説明を行う際や助言、指導を行う際はその方の障がい特性に配慮した対応が必要になってきます。
知的障がいの方とそうでない障がいの方とでは、対応は変わってくると思います。
知的障がいの方への説明ではイラストを用いたり、文字で説明する際には平仮名を用いる方法が有効であっても、その他の障がいの方にとっては「子供扱いされた」「馬鹿にされている」と感じるかもしれません。
また、言葉遣いでも子供扱いされたと感じることがあるようです。
名前を「○○ちゃん」「○○くん」と呼ばれたり、「すごいね〜!」「できたね〜!」など過度な称賛の声をかけられたなど、人によっては馴れ馴れしい態度を取られた、距離感が近いと感じるかもしれません。
利用者も一人の人間ですから、「子供扱いされた」「不快に感じた」という感情は持っておられるので、職員は言葉遣いや態度には気をつけたいですね。
事業所側は利用者一人一人の目標に沿ってその方にあった支援を提供しなければなりません。
そのためには職員全員が利用者の障がい特性を理解しどのような支援が適切なのかアセスメントする必要があります。
【いじめ②】パワハラ
福祉サービスの一つであるB型事業所でパワハラが起こっているのか疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
残念ながら前述のいじめの件同様パワハラも起こっているようです。
まずパワハラの定義ですが、厚生労働省の資料ではパワハラの定義はこうなっています。
少し分かりづらい文面ではありますね。具体例をあげてみますので、参考になればと思います。
- 作業内容を説明されず、聞いても無視された
- ミスをしたら他の利用者の前で怒鳴られた
- 「馬鹿」「役立たず」などの暴言を言われた
- 工賃の支払いがされない
- 暴力を振るわれた
- 体を触られた
などです。
上記のような対応は「障がい者虐待」と認定されることがあります。
また、厚生労働省の資料では障害者虐待の種類を以下に分類し定義しています。
身体的虐待
障がい者の身体に外傷が生じ、若しくは生じるおそれのある暴行を加え、または正当な理由なく障がい者の身体を拘束すること。
ネグレクト(放棄、放置)
障がい者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置等による身体的、性的、心理的虐待の行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。
性的虐待
障がい者にわいせつな行為をすること又は障がい者をしてわいせつな行為をさせること。
心理的虐待
障がい者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の障がい者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
経済的虐待
障がい者から不当に財産上の利益を得ること。
この5つが障害者虐待として定義されています。
虐待を疑われる行為をされたり、発見した場合は通報しなけらばならないとされています
通報と聞くとハードルが高いと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自分自身にパワハラや虐待のような対応をされた際には、一人で抱え込まず担当の相談支援専門員や市区町村の福祉相談窓口、ハローワークなどに相談されてみてください。
就労継続支援B型は何をするところ?
冒頭からB型事業所のいじめやパワハラついて述べてきましたが、そもそも就労継続支援B型事業所とは何をするところなのでしょうか。
B型事業所は障害者総合支援法に基づく福祉サービスです。
福祉サービスの中でも訓練等給付に位置づけられています。
障害者総合支援法ではB型事業所とはこのようになっています。
ちなみに年齢制限や利用期間の制限はありません。
B型事業所では利用者にあった作業内容が提供されます。
作業内容は事業所によって異なりますが、クリーニング業、調理(パン、菓子、弁当などの製造)、編み物や縫い物などの手工芸、PC入力(Word、Excel)など様々です。
では、通常の雇用で就労する場合と訓練では何が違うのでしょうか。その違いからいじめの背景を考察してみたいと思います。
【いじめを考察】健常者の労働との違いから
B型事業所で起こるいじめの背景にはどのようなものがあるのでしょうか。
健常者の労働の違いから考察していきます。
B型事業所を利用されている方の中にはコミュニケーションが苦手な方やネガティブに捉えがちな方、感情のコントロールが苦手な方など様々です。
そのため職員の指導や助言をいじめと認識する方もいらっしゃるかもしれません。
また、一般就労経験のない方は指導されることに慣れておらず、ネガティブに捉えてしまうこともあるのではないでしょうか。
B型事業所は就労訓練の場ですので、職員は利用者に対して就労に必要なコミュニケーションの取り方、作業中の姿勢などについて助言や指導を行います。
あくまで就労訓練の場ですので作業が優先となります。
訓練とはいっても、指導や助言の仕方には限度がありますので強い物言いや他の利用者が見ている前での叱責はいじめやパワハラと捉えられても仕方ないと思います。
職員の言動からいじめやパワハラと認識する可能性も考えられるので、「これっていじめかな?パワハラかな?」と感じたら第三者に相談すると良いかと思います。
【B型事業所は儲かる?】最低賃金(工賃)と職員の給料はなぜ安い
就労訓練を行うB型事業所ですが、給料(工賃)の金額は一般就労に比べるととても安いです。
また、職員の給料が低い事業所も多いです。B型事業所を開所した場合に儲かるのでしょうか?
B型事業所の収入源は利用者が行う生産活動から得られるものと自治体から得られる訓練等給付費です。
利用者の工賃は生産活動から得られたものから支給されるので、生産性を上げる必要があります。生産性が上がると自治体からの訓練等給付費の金額も変動します。
B型事業所の工賃は事業所によって振り幅がありますが、最低賃金ほどの金額はありません。それは労働基準法に基づくものではなく、就労訓練の場であることが理由です。
職員の給料が安い事業所は生産活動費が低いことや処遇改善加算が受けられていないのではないでしょうか。
収益を上げるためには何が必要なのでしょうか?
生産活動の売り上げを上げる必要性
B型事業所の収益の一つである、生産活動の売り上げ。
売り上げを伸ばすためには利用者の障がい特性を生かした作業内容を考え、作業効率を上げなければなりません。
また、原価率を踏まえて価格設定を行うことや、販路拡大が必要になります。
積極的な加算の利用
B型事業所の収益には加算算定による報酬もあります。
また、年度ごとに受けられる加算が変わることもあるので、見直すことが大事です。
利用者数を増やすために各機関と連携を取る
事業所を知ってもらうために相談支援事業所や市区町村、病院のデイケアなどに営業にいくことも大切です。
利用者が通所して初めて収入が得られますので積極的に営業に出向きましょう。
これらが、収益を上げるためには必要なことと言えます。
B型事業所はサービス業なので利用者に選んでもらって初めて収入が得られます。
事業所の管理者や職員は多くの利用者に通所してもらうために、支援のあり方や作業内容の変化を常に考える必要があり、簡単には儲からないと言えます。
B型事業所は違法?
これからB型事業所への通所を検討されている方は情報収集する中でB型事業所は違法?などといった記事を目にすることがあるかもしれません。
前述でも述べましたが、B型事業所は障害者総合支援法に基づく訓練等給付サービスです。その中で就労支援サービスには以下の3つの種類があります。
①就労継続支援A型事業所
一般企業等での就労が困難な人に、雇用して就労の機会を提供するとともに、能力の向上のために必要な訓練を行う。
②就労継続支援B型事業所
一般企業等での就労が困難な人に、就労する機会を提供するとともに、能力等の向上のために必要な訓練を行う。
③就労移行支援事業所
一般企業等へ就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う。
就労支援サービスには、この3つの種類があります。
具体的なB型事業所の特徴を以下にまとめました。
- B型事業所は雇用契約を結ばないので最低賃金の保証がない
- 病気や障がいなどで体調に波がある場合でも体調に合わせて就労訓練ができる
- 労働時間に決まりがない
- 利用期間、年齢の制限がない
B型事業所は最低賃金の保証がありません。
また、労働日数や労働時間に決まりはありませんので、自身の体調に合わせて就労訓練ができます。
利用期間や年齢制限もありません。
上記の特徴から「B型事業所は違法だ!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、法律上認められている就労訓練となっており、違法ではないと言えます。
【いじめ】B型事業所へ行きたくないのはおかしい?

せっかくB型事業所への通所を決めたのですから、継続して通所したいですよね。
しかし、通所し始めて事業所内の雰囲気や対人場面で「おかしい」「これはいじめ?パワハラ?」と事業所への不信感が募り、行きたくないと思っている方も少なくないのではないでしょうか。
例えば、作業内容が聞いていたものと違う、職員と合わない、他の利用者から暴言を言われた、暴力を振るわれたなどいわゆるトラブルが理由となることがあるようです。
【知恵袋】B型事業所のトラブル
では具体的にどのようなトラブルが起こるのでしょうか?以下は体験談になります。
精神障害者作業所で陰湿なイジメがあります。(無視、仲間外れ、嫌がらせなど。暴言や暴力は無い。)周囲は私の一方的な被害妄想とか思い込みだと言うが、辛いです。
利用者からの嫌がらせも辛いですね。事業所の職員に相談することや相談支援専門員や市区町村の障害福祉窓口などに相談されることをお勧めします。
筆者が実際に利用者から聞いた体験談
福祉サービス受給者証は一年に一度更新があります。
本人でなくても相談支援専門員や事業所の管理者またはサービス管理責任者が把握していることが多いです。
更新月を過ぎると申請し直しになるのでご自身でも気をつけていた方が良いです。
しかし、この方の場合は事業所側が保管しっぱなしにしていたことや何の説明もしていないことが問題かと思います。
事業所に対して何かしらの違和感を感じたときには上記でも述べましたが第三者に相談されて下さい。
【結論】いじめでB型事業所へ行きたくないのはおかしいのか
前述では知恵袋からの体験談を含めてB型事業所で起こるいじめなどについて述べてきました。
残念なことではありますが、障がい福祉サービスの一つであるB型事業所でもいじめやパワハラの事実があるようですね。
B型事業所でなくてもいじめやパワハラを受けたら職場や学校に行きたくないと思うのは自然なことです。決して行きたくないことがおかしいわけではありません。
ただ、ご本人と事業所側の行き違いの可能性も考えられるので、話し合いの場を設けることも解決への方法かもしれません。
まとめ

B型事業所でのいじめやパワハラ、行きたくないと思うのはおかしい?について紹介してきましたが、すべての事業所でこのようなことが起こっているわけではありません。
中には障がい者福祉に詳しい専門職(精神保健福祉士や社会福祉士など)の職員が常駐している事業所もあります。
B型事業所に通所する前に、
- 自分はどのような作業内容で訓練したいのか
- 自宅からどれくらいまでの距離で事業所を探すのか
- 事業所の障がい種別の比率はどれくらいなのか
情報収集されることをおすすめします。
また、事業所の体験が可能であれば是非体験をされて下さい。実際に作業に取り組んでみての感想を踏まえた上で利用を決めると後悔は少ないと思います。
ですが、通所する中でいじめかな?パワハラかな?これっておかしい?、行きたくないと感じたら、迷わず第三者へ相談されて下さい。
事業所を変えることもできますので一人で抱え込まないことです。
最後までご覧いただきありがとうございました。